眠れない

寝ようと思ったんだけど、ちっとも眠れない。




ふいに、厳しい父を思い出してしまった。
よく叩かれた。
よく怒られた。
目を腫らして学校に行くこともしばしばだった。


父がどうしようもなく怖かった。
いつもおびえていた。
殴られる直前、父がわなわなと唇をふるわせる瞬間、
あの表情が頭から離れなかった。


下手にしゃべると余計怒られるから、
いつの日からか、だまるようになった。
「反論しないほうが、怒られずにすむ。」
そのうち、年上の男の人にも反論ができなくなった。


男の人の怒った顔や不機嫌な顔は、
殴られる痛みを思い出すから、
無意識のうちに、顔色をうかがってしまう。


反抗なんてできなかった。
できるだけ怒られないようにしていた。


父は、普段ゆっくりしゃべるのに、
怒るときだけ、声をあらげた。
だから、いまだに男性の大きい声や、あらげられた声は苦手。
べつに殴られるわけじゃないのにね…(笑)


…と、ここまで書いて、
けっこう重症だなぁ、わたし。と思ってしまった。
実の親に気を使う所以、
男性にびしっと意見を言えない所以は、
ここらへんにあるのかなぁ、なんて思ってみる。